タムくんは語りたい

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好き嫌い最大の敵「味覚嫌悪記憶」と克服のカギ「消去記憶」

こんにちは、タムです。

 

前回は好き嫌いについて、大まかに書いてみました。

分からないところや、読みにくいところがあればご指摘お願いいたします。

 

さて、今回は前回出てきた、味覚嫌悪記憶というキーワードについて書いていきます。この記憶は、子供だけでなく大人の好き嫌いにも大きく関係するので、味嫌悪記憶の正体を知ることで、子供だけではなく大人の好き嫌いについても克服できるカギを見つけていきたいと思います。

そしてそのカギとはいったい何なのかについて(題名でわかっちゃっていますが)、後半触れていきたいと思います。

 

味嫌悪記憶とは

十島安伸教授は本書でこのように述べています。

食経験や味覚経験が好き嫌いを変えるという典型的な例がある。ヒトや雑食動物では、ある味のする食べ物を食べた後に、吐き気や下痢などの体調不良を経験すると、その味の摂取を避けるようになる。

〈 シリーズ人間科学 食べる より〉

 

動物は体に害のあるものを何度も食べると、命を落とす危険にさらされます。そのため、脳はその食べ物を何度も摂取しないよう、嫌悪記憶を作るのです。tまりこの記憶は、食べ物の安全性や危険性についての判断が難しかった太古の時代につくられた素晴らしい機能だと私は思います。

 

味嫌悪記憶の問題

しかし、1つ問題があります。

それは、体調不良の原因が食べ物にない場合でも味覚嫌悪記憶が構築され、その食べ物を苦手になってしまう。ということです。そして、この記憶は初めて食べるときに強く記憶されると言われています。

そのため、体も弱く、食べたことのない物が多い幼少期に、この記憶がつくられ、食べ物を嫌いになってしまう。ということが考えられます。

 

脳のどこに記憶されているのか

この記憶に大きく関係している脳の部分が、快(すき)・不快(きらい)を判断するといわれる「扁桃体」であり、ここに嫌悪記憶が蓄積されると言われています。

 

砂を噛んだ時の「ジャリ」というイヤーな感覚にも、偏桃体が判断を出していると考えられます。

 

味覚嫌悪記憶を克服できるのか

ここまで、味覚嫌悪記憶について述べてきました。

ではこの記憶はどのようにすれば克服することができるのか

前回の記事では、

・食べられる量だけ少しでも食べる(一口でも食べる)

と書きました。これはいったいどのようなことなのか、詳しく書いていきたいと思います。

 

克服のカギ 消去記憶と嫌悪記憶の関係

消去記憶とは、「嫌いな食べ物を食べても体調不良にならないとを学習すること(消去学習)で、嫌悪記憶が起こりにくくなる」記憶です。この消去記憶が徐々に構築されることで嫌いなものを食べる量が少しづづ増えていき、克服につながります。

 

つまり、食べられるだけ少しでも食べることが、消去記憶の構築につながり、好き嫌いを克服することができます。

 

ここで注意しないといけないのが、消去記憶によって嫌悪記憶が脳内から消し去られることではなく、あくまでも嫌悪記憶を思い出しにくくするための記憶にすぎない。ことです。

 

例えば、苦手なたべものをたべて消去記憶をコツコツと形成していても、食べない期間が長くなると、消去記憶が薄れていき嫌悪記憶が思い出しやすくなってしまう可能性があります。

 

 

消去記憶と前頭前野

味嫌悪記憶が関係している脳の部分は「扁桃体」と呼ばれる部分でしたが、消去記憶が関係しているのは前頭葉にある「前頭前野」だと言われています。ここで注目したいのが、青柳らの研究です。その研究で、ヒトの前頭前野前頭葉に占める体積の割合は、10歳前から急増しはじめ、20歳ごろまで増加し続けると言われていました。

 

このことから、小学校中学年までの子どもたちは、前頭前野が十分に発達していないために、好き嫌いが克服しにくいという仮説が考えられます。

 

もちろん、この考えは私の仮説であり、食べても消去記憶がつくられないということはないと思います。しかし、10歳までの子どもが食べ物を過度に毛嫌いしている場合に限り、それを食べるということに十分な意味があるのか・・・と問題提起しておきたい思います。みなさんの考えをお聞かせください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

参考

シリーズ人間科学 食べる

マウス味覚嫌悪学習後の消去記憶保持機構の成熟に対するテストステロンの役割https://www.jstage.jst.go.jp/article/hikakuseiriseika/32/2/32_76/_pdf