タムくんは語りたい

食・健康・栄養/教育・哲学についてのんびり発信していきます。

子供の好き嫌い、対応はどうしたらいいの?について

f:id:cacher:20190624204353j:image

こんにちわ、タムです。

 

子どもの好き嫌いについて、悩んでいる人が多いのではないでしょうか。

 

学校の給食現場で働き始めた頃は、嫌いなものを食べることができない子どもたちにどのような支援をしていけばいいのか日々悩んでいました。 その時に知っておきたかったことを、今回は好き嫌いがおこる理由とともに、食べるときにどのような対応していくのか、についてまとめてみました。

 

僕と同じように現場で悩んでいる方や、お父さんお母さんなどにも見ていただきたい内容となっております。

 

最初に僕が良いと思う対応について3つ取り上げます。

・おいしいよと一緒に食べる。

・食べられる量だけ少量でも食べる(一口でも食べる)

・食べたいという思いをつける。

 

皆さんが今までもされていることだと思います。しかし、なぜこのような対応をするのか、分かっていない人も多いのではないのでしょうか。「どうして、嫌いになったのか」の理由を知ることで、上に書いてある対応の3つの中からその原因に合った、より良い対応を行う事ができます。

 

では、どのような原因があるのでしょうか。好き嫌いが起こる原因は複雑で多岐にわたりますが、今回はその中の3つを説明したいと思います。

 

 

この3つについて順を追って説明していきます。

 

1.味を強く感じている。

子どもたちと一緒に食事をしていて、子どもたちがよく「すっぱい」や「にがい」と声に出すことがあります。しかし、大人はそれほど強く感じることはありませんでした。それはなぜでしょうか。

 

人間の舌には「味蕾(みらい)」という味覚を感じる細胞があります。この味蕾細胞の数が多いと味をより感じることができるようになります。

子どもの「味蕾細胞」は約1万個に対して、20才では約7500個、60才では約3500個と年齢を重ねるごとに減少していきます。

f:id:cacher:20190624204232j:image

 

そのため、子どもたちは大人より「味を感じやすい舌」を持っているといえます。これが食べることのできない一つの原因です。子どもたちは大人が思っている以上に料理の味を感じているのかもしれません。

 

 

 

さらに「すっぱい(酸味)」や「にがい(苦味)」という味を感じるようになったのは

 すっぱい→くさっている

 にがい →ドクがある

を見分けるためだと言われています。

子どもは体が小さく、肝臓なども十分に発達していません。少量の有害物質が身体に入っただけで、命の危険があります。大人よりも味を感じやすいことは、身体に悪影響を及ぼす物質が入ってこないようにするための防御装置の一つだと考えられます。

 

すっぱいものや苦いものは、味蕾の減少とともに食べることができるようになります。苦いゴーヤやピーマン、コーヒーが大人になるにつれて、おいしく感じることができるのは、苦味を感じることができなくなったことも理由の一つなのです。

 

この場合は、精神的に過度の負担を与えないように、子どもが食べられる範囲で食べることが良いでしょう。

 

2.食べものに恐怖がある。

人間は「知らないもの」「初めてのもの」について恐怖や不安を覚えます。(このことを新奇的恐怖といいます。)

もし、見たこともない、青い色をしている果物を食べろと言われたら。

心の中で(え、なにこれ、食べて大丈夫なの?)などと思い、不安で食べることをためらうはずです。しかし、相手の方がおいしそうに果実を食べていると、不安が少なくなり、食べようかなと思うようになると思います。

 

子どもたちには、知らないものや体感したことのないものがたくさんあり、不安や恐怖を抱きます。その不安や恐怖をやわらげることが、「食べようかな」と思う最初の一歩です。

 

大人が一緒においしいと食べてくれることで、子どもは食べてみようと、第一歩を踏み出すことができるようになります。

 

 

3.脳が危険な食べものだと錯覚している。

マーマレードが嫌いな子どもに「どうしてマーマレードが嫌いなの?」と質問したことがあります。すると、「幼稚園の時マーマレードを食べてから、その後に熱が出て、それから食べることができなくなった。」というのです。

 

なぜ、食べものとは関係のない熱が出るということで、食べられなくなったのか。それを調べていくと、味覚嫌悪記憶というキーワードにあたりました。

 

簡単に説明すると

①リンゴを食べた後にお腹が痛くなる

②脳が「リンゴはお腹が痛くなる食べもの。だから、食べてはいけない」と記憶(嫌悪記憶)

③リンゴを食べたときに②の記憶を引き出してくる

④嫌悪感や吐き気、飲み込めないといった症状が出る

 

なぜ、そんな機能が脳にあるの?と疑問に思う人もいるかも知れません。それは、この機能がなければ、どんなものでも食べてしまい危険な状態に陥る事になるからです。この機能は安全を守るために太古から授かった防御装置なのです。

 

そのため、味覚嫌悪記憶を克服するためには、かなりの時間が必要になります。

まずは、一口から初めて、食べても大丈夫・安全だよと脳に記憶させていく事が必要です。

 

 

最後に、食べれるようになりたい、克服したいという気持ちがない限り、嫌いな食べものを食べる行為は精神的に大きなストレスがかかります。

 

 

まとめ

今回は好き嫌いの3つの原因から、対処法を考えてきました。食べ物の好き嫌いはすぐに治るものではありません。毎日少しづつ、ときには後退もしながら、長期的にかかわってあげることが大切だと思います。

お互いが無理をせずにかかわっていけるのがベターですね。

 

参考文献

シリーズ人間科学 食べる 大阪大学出版